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あの日の僕を探して22 [創作詩]

過去に書いた詩を紹介するコーナーです。
 
 
 
   「ネクスト・ラウンド」
 
 
 あなたがそこで歌ってくれれば、と夜毎思うのです
 張り巡らされた銀色の糸にとりつかれて
 私は夢の中にからまれて逃げ出せないでいるのです
 
 動物園のぽっかりと開いた丸い空の下で
 張り巡らされた銀色の糸にとりつかれて
 私は夢の中にからまれて逃げ出せないでいるのです
 
 罪もなく、暗闇もないこの場所で
 次の境界線へ
 生命が音を立てて導く
 
 あなたがそこで歌ってくれれば、と夜毎思うのです
 私は岩陰に身を潜めて
 この夢のあまりの眩しさに目をそらすことさえできないでいるのです
 
 
 
 


虚構の天使 最終回 [連載小説]

 おかげさまで最終回となりました。おつきあいありがとうございました。
 ブログはまだまだ続く予定。最近の朝食はバナナではないのですが・・。
 
 
 
 いつか僕とメリーと啓で海に行った。メリーはすらすらと、啓の頭を撫でながら喋っていた。メリーの言葉は僕の耳に届いていたが、僕は沖に浮かんでいるボートに気を取られていた。
 そのボートには小さな子供が二人乗っていた。そして抱き合ったり、ふざけて掴み合ったりしていた。太陽が赤い逆光でシルエットしか見えなかったが、多分男の子と女の子だろう。二人はいつまでも浮かんでいた。小学生にしては大きな、木のボートだった。オールを上げていて、二人で何処かへ流れて行きそうに見えた。
 啓はだいぶ大きくなっていたので、僕がそのボートに気を配っているのが分かっていたみたいだった。そしてたどたどしい声で僕に言った。
「パパ、見てるの何?」
メリーが顔を上げ、啓から視線を沖へとやった。
「あれは、お船よ。ゆらゆら海に浮かぶのよ。」
啓は僕の顔をじーっと見て、ボートをじっと見た。
 夏の終わりは、啓の言葉でやって来た。
「あのお船に、ママがいるよ。」
 
                             おわり
 

茅ヶ崎にて。


虚構の天使 その4 [連載小説]

 今日で連載四回目となります。本人、書いた記憶すらない短編小説です。
 
 
 
 確かに僕はメリーに頼っていた。メリーの歩く方向に着いて行くのは、そうするのが必要だったからだ。だけど僕は、メリーも僕が必要だと確信していた。
 啓は今日も泣いているだろう。まるで幸子が喘いでいるような声で。そしてメリーは買い物カゴを投げ捨てて、啓を抱きかかえるだろう。そして何がいけなかったのか考えるだろう。自分も泣きたくなって僕の名前を呼ぶだろう。そして綺麗な乳首を啓に吸わせるだろう。それで泣き止むと、メリーはホッとしてミルクを温める。感情が、赤ちゃんみたいに不規則なものに上下に引っ張られて疲れるだろう。だけどきっと落ちついてみると、幸せが沸き上がってくるだろう。そして自分の子供が欲しくなるのだろう。だから僕が疲れて帰ってきても明るく夜へ誘うのだろう。そして僕は天使に暖めてもらいたくてメリーを抱くのだ。小さくて泣き虫の天使は、壊れやすくて儚いものを欲しがっていた。

                                 つづく


茅ヶ崎にて。


虚構の天使 その3 [連載小説]

 今日は連載三回目になります。
 
 
 
 メリーは窓を開けて言った。「風が気持ちいいわ。」とかなんとか。僕は薄汚れたシーツの上で、体をくねらせていた。裸の皮膚には汗の膜が張っていた。
 起き上がってメリーにウインクすると、メリーは笑って僕の頭を撫でた。まるで猫のチビスケでも撫でるみたいに慈悲深かった。僕はホッとして、風の匂いを嗅いだ。もう世界は始まっていた。僕の生活も漕ぎ出していた。メリーは夕べ僕を暖めてくれたから、僕は起き出ることもできた。啓の笑顔が今日も見えた。何も心配することはなかった。送風は汗を乾かして部屋中へと漂っていた。

 仕事を見つけるのは大変だった。メリーの作ってくれた弁当はいつも鳩の餌になった。日々が重なって重くのしかかってくるたびに、僕は僕が無意味で邪魔な存在に思えた。だけどその度に頭を振って否定するんだ。それなら天使が僕についていてくれるのは、何故なんだ。嫌なことは考えないうちに忘れてしまうんだ。経験上、僕は知っていた。だけど神様は、毎日毎日ノーのカードを僕に突き付けた。努力が実らなければ、努力する必要もないではないか。小学校よりも高校よりも、社会は複雑に難しいパズルを僕に叩き付けた。変わらないものは変わらないけど、天使はヒントもくれないのだろうか。

                                つづく


茅ヶ崎にて撮影。


虚構の天使 その2 [連載小説]

 今日は連載2回目です。
 
 
 
 今はつぶれてしまった小さくてオシャレな雑貨屋で、メリーは働いていた。Tシャツジーンズという格好だった。
 僕は彼女に誘われるままに雑貨屋に入って、サングラスを買った。全然つけることもないのに。そして彼女に口説かれて僕の家に遊びに連れていった。啓を託児所に迎えに行った。その間メリーは僕の家でじっとしていた。僕と啓が帰った時、彼女は汚く散らかった部屋の少しのスペースに膝を抱えて俯いていた。だけどいま考えると眠っていたのかもしれない。僕がコーヒーを煎れて話しかけるまでそのままだったから。
 そして僕は今までの人生をおもしろおかしく話した。死んだ人について楽しく語った。メリーは日本語がよく分からなかったので笑って聞いてくれた。細かいところをひどく真剣に質問してきたりした。嬉しかったけど苦痛だった。
 食事を作ってあげると、あまりおいしくなかったらしく、半分以上残した。彼女は早くベッドに行きたがったが、僕はもっと話をしていたかった。

 僕は貧乏だった。夢もなかった。たまに泥棒に入りたくなった。仕事もできなかった。最近髪が薄くなってきていた。子供は鬱陶しかった。睡眠不足になった。ヒゲを剃るのがめんどくさかった。ホームで電車が近くを通ると足がすくんだ。本も読まないし、テレビも見なかった。同じシャツを一週間も着ていた。ベッドに横になるとホコリが体に積もってくる気がした。車には泥がこびりついていた。部屋の電球が一つ、切れたままだった。電話料金が未払いで、もうすぐ電話を止められると思った。啓の将来が不安で仕方なかった。だけど死にたくなかった。
 そしたら天使が降りてきた。

                                つづく


吉祥寺のくぐつ草にて。


虚構の天使 その1 [連載小説]

 昔書いた短編小説を掲載してます。今日は第一回目。
 
 
 
 彼女は高性能のロボットだった。名前をメリーといった。
 メリーは芝生に寝っ転がりながら、モザイクのかかってない局部を広げた。僕と啓は吸い込まれるだけだった。感覚が最近無くなってきていた。彼女の優しい声に耳を傾けた。メリーは僕にステップの踏み方をコーチした。僕はメリーと何も考えずに体を動かした。生き続けるために、踊り続けなければならなかった。意思を遠のけて、啓にミルクを温めて与えながら。メリーには僕を連れていってくれる才能があった。僕は呼吸をするよりも楽に生活を回転させていった。
 明るい日の下で、コンピューターは涼しい場所を夢見ていた。天使は錆び付いた羽を僕に擦り寄せて笑いかけた。メリーはスピード違反でお金を払わなければいけなくなってとても憂鬱だった。そして啓のおむつを換えながらため息をついた。しかしそんなのは軽い問題だった。どうでもよいことで、一週間もしたら気にならなくなるような事だった。だけどメリーはこの世の終わりが近づいているみたいに、深刻に僕に相談した。
  
                              つづく


浅草の水上バスのりば。


流れるような星の歌 [創作詩]

「流れるような星の歌」

星屑ひとつきり
好きなものは
流れるような星の歌
人のこころと

太陽もいい
切なさの風ふきぬける
昼下がりは
春のような冬の日に

ゆっくりと早く
車がすべっていく
水辺の路上は
行き道、まだ寒く


吾妻橋の真ん中から墨田区側をのぞむ。


ストレイト・ストーリー [映画・ドラマ]

 一生大事にしたい映画、そんな映画の一本がデヴィッド・リンチ監督の映画「ストレイト・ストーリー」です。もともとリンチ作品はなんでも大好きなんですが・・。先日、深夜テレビで放映されていたので、ビデオに録って数年ぶりに見ました。やっぱり良かった(TT)何度でも観たくなります。

 仲違いしている兄弟に会うため、アイオワ州からウィスコンシン州まではるばる500キロを、トラクターで老人が旅をするという、ただそれだけの話。
 旅の途中ではさまざまな出会いがあります。交通事故現場に遭遇したり、悩める若者をはげましたり、窮地に立たされて人の優しさに触れたり、キャンプファイアーを見つめながら自分の人生を振り返ったり。そのエピソードのひとつひとつがとてもシンプルで味わい深いのです。

 知的障害を持つ、主人公の娘役シシー・スペイセクの優しさと悲しみ。そしてラストシーン、主人公の兄役ハリー・ディーン・スタントンが見せる、わだかまりが邂逅していくその数秒の表情。心に深く残ります。
 主人公アルヴィン・ストレイトを演じるリチャード・ファーンズワースは、スタントマン人生を歩んで来た、ほとんど知られていない役者。この物語の主人公に彼を抜擢したリンチ監督のセンスに驚かされました。しかし完成した映画を見ると、彼しかこの役はできなかったんだなと思えるのだなぁ。
 撮影も音楽も最高。もし自分がアカデミー賞選定委員だったら、タイムマシーンで当時に戻って全部門最優秀賞を贈呈します!


吾妻橋を浅草方面へ渡る


日々の詩11 [創作詩]

空を見上げれば
空があり
うつむき歩けば
アスファルトがある

コーヒーを飲みながら一服
帰宅してから
朝刊を読む
そんな一日

無感動の感動
幸せ者の不幸せ
横断歩道を
うさぎ跳びする人々

空、そう空を見上げれば
あなたには空が見えるかい?
それともどんなものが
浮かんでる?

まっすぐに射し込む
西日が眩しくて
影に従い歩いてく
そんな一日


この日は爽やかな朝だった


Wings At The Speed Of Sound [音楽]

 恒例の?ポール・マッカートニーアルバム感想。最近中古で入手した数枚のうちの一枚について。
 今回は「Wings At The Speed Of Sound」です。
 
 これは良かった。トータルアルバム的な構成ではないですし、ポールばかりでなく、ウィングスそれぞれのメンバーの曲も多く収録されていますが、どれも素晴らしく、佳曲集といった感じです。さらに名曲「Let 'em in」「Silly love song」も収録されています。いきなり冒頭で「Let 'em in」のチャイムから始まるところにしびれます。
 
 解説によれば、「バンド・オン・ザ・ラン」「ヴィーナス・アンド・マース」といった評価の高いアルバムを発表し、ワールド・ツアーを行っている最中に書きためた曲を発表したアルバムらしい。つまり時期的にウィングスの絶頂期の音楽であるわけです。アメリカ・ツアーに向けての戦略的アルバムの要素もあるらしく、そのせいかアメリカロックのような、ざらっとした手触りのラフさも感じます。それがまたなかなかかっこいい。

◎today's word◎
何度でも
I love you
いつの時代でも
変わらない


日々の詩10 [創作詩]

プレーリードッグが盆踊りしてるように
見えていたあの頃

なぜだか君はつれなかった

今はプレーリードッグは
盆踊りしているようには見えず

月も雲に隠れている


日々の詩9 [創作詩]

「時々」
 
 
 
時々、投げやりになってしまう
それに些細な事で腹を立て
台無しにしてしまう
  
時々、がんばっても報われなくて
どうしようもなく落ち込んでしまう
転職したくなってしまう
 
時々、涙も流さなくなった事に気づく
余生を送っているような気分になって
生き甲斐を失ってしまう
 
全て投げ出しても捨てきれない
栄養剤を飲んだら
また朝日は上る
 
君の歌を聴きながら
甘えても甘え足りない
それが人間
 


IT'S A NEW DAY [音楽]

ヤイコの最新アルバム「IT'S A NEW DAY」について書いてなかったなと思い、更新します。

 一言で言えば、ストレートロックンロールアルバム。
 悲しみも喜びもごった煮の感情を一度リセットして、前進するようなパワーに溢れています。このエネルギーには唸らされる前に、飛び跳ねて踊りたくなります。「STARTLiNE」や「Go my way」のロックンロールはこのアルバムのテーマを象徴してる曲でしょう。
 何度もリピートして聴くうちに、浮き上がってくる優しい風景が、「初恋」や「おやすみ」に代表される、女性の心理を切々と歌った曲です。そして優しさと情熱が混在する彼女の曲たちがいっそう愛おしくなるのです。

today's word◎
熱い涙とほほえみと
疑問はそのまま空に放り投げ
行け
我が道を


Back To The Egg [音楽]

 前回の話題の続きになりますが、「バック・トゥ・ジ・エッグ」も「ヴィーナス・アンド・マース」と共にディスクユニオンで入手した一枚。ウィングスのラスト・アルバムで、1979年発売。

 「ヴィーナス・アンド・マース」の方が好みで、正直良く聴いているのですが、この「バック・トゥ・ジ・エッグ」の方が派手めです。
 一番の目玉は総勢23名のロックミュージシャンが共演している2曲でしょう。「ロケストラのテーマ」と「ソー・グラッド」。ピート・タウンゼント、デイブ・ギルモア、ジョン・ボーナム、ジョン・ポール・ジョーンズなど、自分でも知っているようなビッグネームが一同に会して、スーパーセッションを行いレコーディングしたとか。迫力あります。
 個人的にはこのアルバムのお気に入りは、デニー・レインの歌う「アゲイン・アンド・アゲイン・アンド・アゲイン」、けだるいシンセとブラスがかっこいい「アロー・スルー・ミー」など地味めな曲。
 そして一番の名曲が、再発CDなのでボーナストラックで入っているという。「デイタイム・ナイトタイム・サファリング」と「ワンダフル・クリスマスタイム」の2曲。


季節感ない一枚ですが・・。

◎today's word◎
Simply having a wonderful Christmastime♪
Simply having a wonderful Christmastime♪
と今年の歳末は口ずさみ


Venus And Mars [音楽]

 ポール・マッカートニーの1975年のアルバムヴィーナス・アンド・マース」を最近はよく聴いています。中古で手に入れました。

 ポールのアルバムは後半からエンディングにかけて、グーッと気持ちが盛り上がる構成が多いように思います。ビートルズの「アビー・ロード」が典型的なパターンですが。この作品も10曲めの「コール・ミー・バック・アゲイン」から「あの娘におせっかい」、「トリート・ハー・ジェントリー〜ロンリー・オールド・ピープル」といい感じで聴かせてくれてます。

 「トリート・ハー・ジェントリー〜ロンリー・オールド・ピープル」は、老人ホームを舞台にした歌詞です。

 Treat her gently/Treat her kind/She doesn't even know her own mind

 美しいメロディに乗せて語られると、なんだかしみじみとします。


だいぶ前に撮った写真を一枚。

today's words
恋をして
甘えて、微笑んで
優しさって大事だよな、とか
そんな気持ちを分け合うような曲たち


あの日の僕を探して21 [創作詩]

「あの日の僕を探して」=「昔 書いた 詩」
 
 
 
髪の毛が突然、忽然と抜け落ちて
まるで砂漠の枯れ木程度の頭になって
塵が降り積もったように
ふけが頭皮に浮かび上がり
燃え立つ鬼のような形相に変わり
 
もう誰も振り向いてくれないって
もう何もかもが憂鬱になり
誰かに肩を叩かれただけで
振り返っては
ボロボロのコートに忍び込ませた
何か武器を取り出して
 
手が枝のように痩せ細り
ささくれだって
足もそう
腹だけが異様に膨れ上がり
膿をもってなめくりかえる
 
不幸の生きざまをひとり背負いこんで
もう何もかもが憂鬱になり
銃のことばかり考えるようになり
ビルのことばかりかんがえるようになり
 
 
俺は思うのだ
希望について
金のやり繰りについてや
肉体の老化について
いつまで雨が降り続くだろうかとか
笑顔について
太陽の放つプリズムについて
未来への漠然とした不安や
無意味な事
例えばゆりかごの動き方だとか
信号の渡り方だとか
花の名前をひとつひとつ覚えていく
そんな事を
 


日々の詩8+「白夜」 [創作詩]

「お元気ですか?」
 
 
絵葉書を書いた
なんとなく
 
絵葉書を出した
それとなく
 
なんとなく・・
それとなく・・
 
なんとなく・・
それとなく・・
 
絵葉書を書いて出す
相手がいる
そんな幸せが
そこはかとなく
良い

 衛星放送で、ルキノ・ウ゛ィスコンティ監督の映画「白夜」を見ました。
 主演がマルチェロ・マストロヤンニ。女優さんはよく知らないが、スラブ系の移民という設定。確かに純朴で可憐な感じ。しかしこの女性が純粋な故に、恋する男マストロヤンニを傷つけてしまう。

 片思いの男が、好きな女性と夜を過ごし、恋が成就するかに思える。そしてふと降り出した雪が世界を輝かせて見せる。その美しさ。
 そして、男性が女性にふられた時、しんしんと降り続く雪の冷たさ・・。
 恋の美しさ、そして残酷さを、監督はモノクロ映像で見事に表現していました。

 ウ゛ィスコンティ監督と言えば、後期の豪華絢爛なデカダンス映画が有名ですが、初期の映画も素晴らしいなと感動させられたのでした。


日々の詩7 [創作詩]

夜汽車の音は
鈴の音
 
 
君は手紙を書いている
誰宛でもない
全ての人に宛てた手紙を
 
静かな夜は
波に乗り
世界の中に
ひとりきり
 
君は歌を歌っている
届かない声で
どこまでも遠くまで
 
 
ふと君は荷物をまとめはじめる
そして
旅に出るのさ
手紙は破り捨てて
口笛吹いて
 
どうせ
終わりのない
漂流記
 
 
夜汽車の音は
鈴の音


あの日の僕を探して20 [創作詩]

 本日からブログも二年目へ。
 昔書いた詩を、数年前にパソコンで描いた絵と合わせて紹介します。
 
 
 

 
 
 

   『笑わない顔』
 
 
君には何も教えてあげない。
僕は誰から何も教えてもらわない。
 
 夕暮れのベランダに立っていると
 誰かが僕の肩に手を伸ばす。
 
僕は何も歌えない。
だけどその歌は気に入らない。
 
 五月の夜風は天使の羽
 僕の肩の震えも止まるようで。
 
君が上手に綱渡りしている。
僕は僕のために綱を張りなおしている。
 
 何も言えない。
 君の手はとても温かかった。
 
落ちるのが怖いんじゃない。
落ちていく自分が惨めなんだ。
 
 君の目は僕の目を慰めてくれたし
 豊かな乳房は僕を守ってくれてた。
 
僕の強がりは緊張している。
笑わない顔で真下を見下ろす。
 
 君は耳元で呟く。
 君は少しだけ浮かび上がって
 耳元で呟く。

 


WINGSPAN [音楽]

 ポール・マッカートニーウィングス時代の音源を中心にしたベストアルバム、「WINGSPAN HITS AND HISTORY」を今、聴きながらこの記事を書いています。
 数年前に購入したアルバムなのですが、ビートルズに勝るとも劣らない名曲の数々。いいんだなぁ、この甘く切ないメロディ

 20代前半までは断然ジョン・レノンのストレートでソリッドなロックンロールが好きだったのですが、年を重ねる毎にポールの曲が身にしみてきます。ジョンのように強烈なメッセージ性はないけれど、ポールの優しさは、心に暖かい灯火を点けてくれます。

today's words◎
心のラブソングは
ちょっと甘いくらいが
ちょうどいい
Let'Em In


あの日の僕を探して19 [創作詩]

kakoni kaita siwo syoukaisuru ko-na-desu.


   『彷徨』

道路。舗装された道路からしみだす魂を指でなぞる。
黒いというか、透明というか
それでいてサラサラしている。
塗り込められた生命を僕は必要としている。

彷徨うだけ、今日の僕は。

誰かから貰った自動車
幸せな気分になって
生きて、生きて、生きて
終わりなんかなくて

生きる人は記号の波乗り。と誰かが言った。
たぶん
それはほんとうだ。
月よりも光る懐中電灯を人間は手に入れた。

寝つけないと僕は、誰のためかさえ分からない子守歌を聞かされる。
耳元で「何でも好きなことをしていい。」って呟いてた
あなたは嘘つきだ。
あなたの思想は地表から離れている。

彷徨うだけ、今日の僕は。

道路。舗装された道路からしみだす魂を指でなぞる。
黒いというか、透明というか
それでいてサラサラしている。
塗り込められた生命を僕は必要としている。

僕は地面に座りたい。そして花を抱いて眠りたい。
寝ころがれば丸い空から闇が見えて
闇は僕に語りかける。
無垢な世界しか信じられない。

彷徨うだけだ、今日の僕は。


ジャック・ニコルソン [映画・ドラマ]

 ジャックニコルソンは妻が好きな俳優の一人です。

 今日は休みだったので、衛星放送で録画していた2002年の映画「アバウト・シュミット」を観ました。ほとんど全編を通してジャック・ニコルソンが画面に出てくる、一人芝居に近い映画でした。
 ジャック・ニコルソンの役は、定年退職した元仕事人間。ありふれた男の老後の姿を、ペーソス豊かに的確に演じています。体つきや髪型までも、元会社人間そのもの。
 妻に先立たれ、もちろん身の回りの事には無頓着。悲しみや怒り、孤独感を滲ませつつ、キャンピングカーを一人駆って旅をするシュミット。涙もろくなって、説教臭い。子供たちの世代からはうっとうしがられる。行き場のない男の姿は、イタクて、でもおもしろい。

 ジャック・ニコルソンの演技は、一つの良質のアメリカ文学の文体なんだなぁとも思いました。主人公が退職する日。淡々とした、なんてことない冒頭の10分の演技。台詞もほとんどないのに、ニコルソンの存在だけでなんだか感動して、涙ぐんでしまいました。

today's words
ジャック・ニコルソンは
寂しい男や変わった奴
そんなアメリカの姿を演じる
夢のアメリカ
真実のアメリカ


東の空へ [創作詩]

涙が出そうな時
東の空へ向くのである
君はそんな人

溶けていく体を抱え
涙が出そうな時

傷でくすんだセロファンの彼方に
ぼやけた希望を見つけだし
東の空へ向くのである

まあるい瞳に
まあるい世界がこぼれていく
君はそんな人


GALAXY [雑記]

 どっと疲れてちょいダウン。
 以下理由です。

 一泊二日、法事で北海道
 早朝、羽田は連休で混み混み。
 函館からレンタカーでひたすら運転。
 BGMはクレイジーケンバンドの「GALAXY
 初めて妻の親戚と対面。
 寝る。
 早朝、函館空港に向け出発。
 ひたすら運転。250キロ。
 BGMはクレイジーケンバンドの「GALAXY」
 観光する間も、写真を撮る暇もほとんどなく、函館から羽田へ。
 自宅到着。
 寝る。寝る。
 次の日(本日)は早朝から仕事。
 正午、頭痛始まる。
 残業。頭痛&吐き気。バファリン服用。
 帰宅。ボーッとしながらブログ書いている。
 BGMはクレイジーケンバンドの「GALAXY」

 イイネ!

 


あの日の僕を探して18 [創作詩]

 今日は仲秋の名月。しかし外は風雨ですね。以前書いた詩を紹介するコーナーです。


 
   『月を食む』
 
 
皿の上に盛られた
いろいろな果物を
ひとつひとつ手に取りながら
わたしはテーブルの縁へ置いていく
 
つんと鼻をつく酸味
目を潤す色彩
手に取りながら一口づつ
わたしはテーブルの縁へ並べていく
 
わたしに齧られて
まったくの不格好の果物たちは
窓の外の
あの月を食んでいる

 


日々の詩5 [創作詩]

「empty」
 
言わなくてもいい言葉を探してる
真ん中で
秋の空は流れてく
 
水のような手触りで
心の熱が
溶けていく
 
殺風景なあの部屋よ
さよなら、さよなら
 
 
疲れてても気づかない
走ってても見えないから
君は幻
 
秋の空には
なみだ雨
何か泳いでる
 
殺風景なあの部屋よ
さよなら、さよなら


アグリパル塩原 [旅行・街]

 那須塩原旅行記の最終回です。

 温泉に一泊して、次の日はけっこうな雨でした。
 いろいろ見たいところもあったけど、雨で屋外は断念して、屋根のあるところへ行こうということになり、アグリパル塩原バス停で下車。このバス停の近辺には、屋内施設がいくつかあるのです。
 アグリパル塩原では、地元で採れた野菜食品がいろいろと売ってます。この日は大根セール?みたいで、大根が飛ぶように売れていました。けっこうな賑わい。ここで作っているまんじゅうが、かなりおいしいらしく、作って並べたとたんに完売するくらいの人気。ほんと1,2分くらいで無くなりました。地元の方々なのか、箱を持ってまんじゅうが出てくるのを今か今かと待ち構えていました。まんじゅうが到着したとたん、まるでバーゲンセールのような争奪戦。迫力に負けて、とうとうゲットできませんでした(泣)
 郷土資料館では、江戸時代末期から昭和初期のいろいろな民具や資料が展示されています。団体客の高齢者が生き生きして、懐かしさにか饒舌になり、民具の解説を周りの人にしていました。
 TEPCO塩原ランドは、東京電力の資料館。ダムや水力発電のしくみが模型で分かるようになっています。オール電化生活をアピールしてて、でんこちゃんグッズがいろいろ売ってました。節電読本のようなものを貰ってきました。

   

      


塩の湯温泉 [旅行・街]

 塩原温泉街から、道を外れて数キロ。歩いて3、40分ほどでしょうか?塩の湯温泉があります。柏屋、明賀屋、玉屋と三軒ある宿のうち、一軒はすでに営業してないらしく、朽ち果てた姿を晒していました。

 自分たちの宿泊した旅館は明賀屋本館。川沿いにある露天風呂が名物らしい。興味津々、男一人でいざ出陣。この露天風呂、地下一階の大浴場から、さらに山を下るように設置してある、木造の急勾配の階段を下ること下ること、5分ほどはかかるでしょうか。コケたら確実に大けがをします。高齢者にはちょっときついかも。しかし川の流れを眺めながらの入浴はほんとに癒されました。おさるさんになった気分です。
 しかもこの露天風呂は、脱衣所こそ男女別ですが、なんと混浴なのです。生まれて初めて混浴に入りましたよ〜。実在するんですね〜(ちょっと感動)。名物風呂だからか、(おそらく)若い女性もけっこう入浴してました。もちろん水着なんか着てませーん!!はっきりいって、緊張しました・・。ほぼ一点(川の向こう岸)を見つめて唸るのみ。女性専用の時間は朝の6時から8時までです。さすがに写真は撮らなかったです。
 なんだか一人では緊張してくつろげなかったので、夫婦で夜中にもう一度露天風呂に入りにいきました。その時はカップルが一組いたのみ。浴槽はいくつかあったので、わりあいゆったりと入浴できました。深夜の露天風呂は貸し切りっぽくて、気持ちいい〜のでした+++。
 この旅館、上げ膳据え膳で、食事も部屋で食べることになってます。場所も場所で携帯の電波も届かないくらい辺鄙なところなので、けっこうお忍びで来る人も多そう。でもいい温泉でした。極楽、極楽。
 
 次の日は朝から大雨でした。

   

      


小さな幸せ [雑記]

 今日、仕事帰りのこと。普段デイサービスで接している利用者さんと会いました。
 夕暮れの帰宅時、駅前は家路を急ぐ人々でいっぱい。その利用者さんは、車椅子に乗って花屋さんの前で、花を見るでもなく、どこか遠くを見つめていました。動いていく街の風景で、まるで彼女だけが、ストップモーションでポツンと浮かび上がっているよう。
 話しかけてみると、なんでも通院帰りで、同行していたお孫さんがちょっこっとどこかに行ったらしく、彼女の来るのを待っているみたいでした。

 「じゃあ、お気をつけて」
 「気をつけて帰ってね」

 別れ際のそのたった一言で、ふと心があったまるような気がしました。普段仕事では感じないような、なんだか幸せな気分。仕事ではなく、普段着での会話。みんな生活者なんだなぁと、そんな当然なことを、駅前というありふれた場所で、しみじみと感じたのでした。

today's words
夕暮れ街灯、花の宵
流れいくもの
立ち止まるもの
暮らしていくものに
手を振って
「さようなら、また明日」


小太郎が淵 [旅行・街]

 塩原温泉旅行記、第三回です。

 今回の旅行で一番印象に残った場所と言っても過言ではない、隠れた名所がこの「小太郎が淵」です。
 塩原温泉街の国道から離れて、塩の湯温泉方面へ歩くこと一時間ほど。人気のないつづれおりの登り坂を上り、この道で良いのだろうかと不安になるころ、案内板が現れます。舗装道路から外れ、案内板をたよりに車がやっと一台通るほどの山道を下っていくと到着。
 昼間も暗い川淵には、「小太郎茶屋」という古びた店が、川面に湿った木造の体を突き出して、迷い人を慰めるかのごとく、ひっそりと立っています。

 「小太郎が淵」の名前の由来。塩原五代目領主、小山小太郎という人がいました。小太郎は家老との内紛の末、深傷を負いこの甘湯沢の深い淵まで逃げ延びたのですが、ついに力尽き、淵に身を投じたのだそうです。以来、この淵は小太郎が淵と呼ばれるようになったのだとか・・。

 川を眺めながら食べる草団子は、夕暮れ時と相まって、少し物悲しい甘さがしたのでした。

   

      


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